ご挨拶

ご挨拶

リプロダクションクリニック スーパーバイザー
松林 秀彦

私が大学を卒業した1988年当時、10組に1組が不妊症と言われていましたが、「不妊」という言葉はまだ一般的ではありませんでした。その後、晩婚化と雇用形態の変化により、妊娠を目指す女性の年齢が上昇し、女性の卵の老化現象と相まって、妊娠を目指しても妊娠できない方が増えています。最新の調査では、35歳以上は30%、40歳以上は64%が不妊症です。つまり、「不妊」というのは特別なことではありません。

最も留意しておきたいことは、精子と卵子の製造の仕組みが異なることです。精巣では毎日1000万個の精子が作られている一方で、卵巣では生涯に1度しか卵子を作りません。卵子は出生時には200万個ありますが、誕生から老化が始まり、ダメージを受けながら毎日平均100個ずつ減少します。ダメージは生存している卵子にも与えられるため、年齢分のダメージが蓄積し、卵子の質が低下します。つまり、女性は年齢とともに、妊娠する条件がどんどん低下してしまいます。したがって、不妊症かどうかは別として、妊娠へ向けた治療が望ましい時期は、女性が35歳未満では1年以上経っても妊娠しないとき、女性が35歳以上では半年以上経っても妊娠しないときと言われています。

このような医学的な背景もさることながら、不妊診療にもうひとつ大切なことは、「心のケア」の重要性です。治療の進め方への納得度、治療に対する夫婦の温度差、周囲からのプレッシャー、仕事との兼ね合いなど様々なストレスや葛藤が生じます。私は、かつて学会では見向きもされなかった「不妊症の心のケア」に1999年から取り組んでおり、たびたびメディアにも取り上げて頂きました。

私は、不妊診療をライフワークとして産婦人科医になりましたので、大学卒業後25年間を通じ一貫して、不妊症・不育症の診療・研究に携わってきました。設備、知識、人すべてを兼ね備えた不妊センターとして、2013年9月「リプロダクションクリニック大阪」を開設致しました。慶応義塾大学など3つの大学病院と不妊専門医療機関での診療経験を活かし、生殖医療に貢献したいと考えています。

略歴

  • 1988年 3月慶應義塾大学医学部卒業
  • 1988年 5月慶應義塾大学医学部産婦人科 研修医
  • 1990年 5月慶應義塾大学医学部産婦人科 助手
  • 1996年10月米国 Indiana州 Methodist病院生殖移植免疫センター 研究員
  • 1998年 7月東海大学医学部産婦人科学 助手
  • 2002年 4月東海大学医学部産婦人科学 講師
  • 2005年 4月東海大学医学部専門診療学系 産婦人科学 准教授
  • 2009年 4月大阪 New ARTクリニック 副院長
  • 2012年 2月桂川レディースクリニック 副院長
  • 2013年 9月リプロダクションクリニック大阪 院長
  • 2017年 2月リプロダクションクリニック スーパーバイザー
  • 2020年 4月リプロダクションクリニック大阪 院長代行

資格・免許

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 専門医
  • 日本産科婦人科学会 指導医
  • 日本生殖医学会 生殖医療専門医 生殖医療指導医
  • 日本生殖免疫学会 評議員
  • 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 抗リン脂質抗体部会 副部会長
  • 日本不育症学会 認定医

所属学会

  • 日本産科婦人科学会
  • 日本生殖医学会
  • 日本受精着床学会
  • 日本生殖免疫学会
  • 日本産科婦人科内視鏡学会
  • 日本血栓止血学会
  • 日本心身医学会
  • 日本不育症学会
  • ヨーロッパ生殖医学会
  • アメリカ生殖医学会
  • 国際生殖免疫学会
  • アメリカ生殖免疫学会